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ニック・ケイヴもカイリー・ミノーグも——オーストラリアの楽曲がAI学習に無断使用、「30年の創作を盗まれた」

2026.06.27 配信
ニック・ケイヴもカイリー・ミノーグも——オーストラリアの楽曲がAI学習に無断使用、「30年の創作を盗まれた」

自分の音楽がAIに無断で取り込まれているかもしれない——そう疑っていたオーストラリアのミュージシャンたちが、ついに「証拠」を突きつけられることになった。

米誌「The Atlantic」が公開したデータセット検索ツールを使うと、AIの訓練に使われたとみられる楽曲を調べられる。そこで確認されたのは、カイリー・ミノーグ、パウダーフィンガー、ニック・ケイヴ、ジミー・バーンズといったオーストラリアを代表するアーティストの楽曲、そして作家のトーマス・キニーリーやピーター・ケアリーの著作まで、膨大な数の作品だった。

「交渉の余地を丸ごと奪われた」

ロックバンド「Something For Kate」のポール・デンプシーは、自身のバンドのカタログ全曲と、ソロ名義の楽曲も検索ツールで見つかったと語る。「フラストレーションを覚える。これまでレーベルやあらゆる相手と交渉してきたすべての契約が、意味を失った」と話した。「アーティストがコンテンツの利用条件を交渉する力が、まるごと奪われている」とも。

「Savage Garden」のダレン・ヘイズは30年に渡るキャリアのすべてがデータセットに含まれているのを確認し、インスタグラムで強い怒りをぶつけた。「何百何百時間もかけて血と汗と涙で作り上げた音楽が、ソフトウェアに情報として流し込まれている。まるでフライドポテトみたいに。侵害されたと感じる」と投稿している。

パウダーフィンガーのバーナード・ファニングは感情的な観点からこう言った。「ロボットは生きていない。経験もしていない。ただ集積するだけだ。アートの意味は人間の感情を表現することにあるのに、それをロボットにやらせるというのはまったく別の話だ」

2つのデータセットとその規模

問題のデータは主に2つのデータセットに含まれている。「Sleeping AI」と呼ばれる研究グループが作成した「Sleeping-DISCO-9M」はYouTubeから970万曲とGeniusの歌詞データを収録。ドイツのLAIONグループが作った「LAION-DISCO-12M」は同じくYouTubeから1230万曲を集めたものだ。

The Atlanticはデータセットへの収録が、AI企業による実際の使用を意味するわけではないとも注記している。ただし音楽著作権管理団体のAPRA AMCOSは「これは創作物の盗用の証拠だ」と断じている。

業界団体は「一度も話し合いのテーブルに来なかった」

オーストラリアとニュージーランドで12万8000人の会員を持つAPRA AMCOSの代表はこう話す。「大手テックプラットフォームは一度もテーブルについていない。代わりにロビー活動を行い、ポリシーペーパーを出し、支払い義務を消し去るような『解決策』を提案してきた」

オーストラリアの知的財産法では、著作権コンテンツの使用に先立って許可を得ることが求められている。2025年8月には生産性委員会がAI訓練に著作物を無許可で使用することを合法化する案を出したが、同年10月に連邦政府がこれを退けた。

制度の枠組みはあっても、巨大テック企業が「後でルールを変えてもらえばいい」という姿勢で動いていたとすれば、アーティストたちの怒りは当然だろう。

デンプシーはこう締めくくった。「人間の経験から来た表現が、大量のAIコンテンツに埋もれていく。そういう時代になっていくのかもしれない。でも本物の音楽は残る、と信じたい」

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