AIが作った広告、最近やたらと見かけないだろうか。
プロのデザイナーが作ったような美しいポスターや画像が、今やたった数秒、しかも無料で作成できてしまう。
どこの企業も「これで広告費がタダになる!」と大喜びで飛びついたのも無理はない。
だが今、海外のビジネスニュースなどを見ていると、世界中の小さな企業やお店である異変が起きている。
なんと、せっかく導入した人工知能が学習データを元に自動で文章や画像を作り出す技術(生成AI)を全廃し、わざわざ「手書きの看板」や「スマホで撮った不格好な写真」に戻す店が急増しているというのだ。
参考文献:
「ツルツルすぎる肌」と「6本ある指」の違和感
一体、何が起きているのだろうか?
答えは単純だ。
顧客たちが、AIで作られた広告に対して「強い嫌悪感」を抱いていることに企業側が気づいたからである。
人間の目は、私たちが思っている以上にシビアだ。
パッと見は綺麗でも、AI特有の「不自然にツルツルした肌」や「構造がおかしい指先」といった不自然なミスを、消費者はすぐに見抜いてしまう。
ここには、人間に似ているようでどこか不自然さを感じて嫌悪感を抱く心理(不気味の谷現象)が強く働いているのだ。
そして、それを見た顧客が抱く感情は「最新技術を使っていてすごいな」という感心ではない。
「自分たちを呼ぶための広告にすら、手間やお金をかけていないのか」という呆れと失望だ。
つまり、AIによる「究極の手抜き」が、消費者には完全にバレてしまっているのだ。客商売の企業にとって、これは恐ろしい話だろう。
日本でも半数が「AI広告は信用できない」
この「AI広告アレルギー」は、決して海外だけの話ではない。
国内の調査データでも、消費者の約半数が「AIで作られた広告には不信感を抱く」と回答しているというから驚きだ。
よく考えてみれば当然のことかもしれない。
地元のパン屋さんの広告に、私たちは「AIが考えた架空の感動ストーリー」など求めていない。
見たいのは、「店長が朝3時に起きて、粉まみれになりながら生地を捏ねました」という泥臭い事実なのだ。
どこの誰ともわからないAIが作った「嘘の美しさ」には、もはや誰も心を動かされない。
消費者が不満を抱いているのは、AIそのものに対してではない。
「なんでもAIに丸投げして、客とちゃんと向き合おうとしない企業の怠慢な態度」に対してなのだ。
「No AI」がブランドになる時代へ
結果として今、世の中の企業は一周回って「不器用ですが、手書きで作りました」「スマホで撮った無加工の写真です」と、必死に人間味をアピールするようになっている。
なかには、わざわざお店の看板に「当店はAIを一切使っていません」と堂々と掲げるブランドまで登場しているそうだ。
つい最近まで「最新技術の導入!」が最大の売り文句だったはずなのに、事態は完全にひっくり返ってしまった。
どれだけテクノロジーが進化して便利になっても、結局私たちが最後に求めているのは「誰かの体温」や「人の手間」なのだろう。
便利なツールを使うのは良いことだが、それに頼りきって「相手への誠意」を見失えば、痛いしっぺ返しを食らうことになる。
これは企業の広告に限らず、私たちの毎日の仕事や人間関係にも通じる、身近な教訓かもしれない。