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「AIの副作用」を記録するメディア

マクドナルドのAI導入を「嘲笑」して稼ぐテックメディアのしたたかさ

マクドナルドのAI導入を「嘲笑」して稼ぐテックメディアのしたたかさ
Image credit: Unsplash

マクドナルドがGoogleと提携し、「ArchIQ」というAIドライブスルーシステムを再導入したというニュースが報じられた。

しかし、この出来事を伝える海外のテックメディア「Futurism(フューチャリズム)」の記事を読むと、奇妙なことに気づく。

彼らは単に事実を伝えているのではなく、AIを嫌悪し、AIの失敗を面白がる読者に向けて、極めて巧妙に「エサ」を撒いているのだ。

「またやらかすぞ」という期待感を煽る構造

初めてFuturismを読む人のために説明すると、この媒体は「AIの進化を礼賛する」タイプのメディアではない。

むしろ、AIが引き起こすトラブルや、テック系CEOたちの滑稽な失敗を冷笑的に報じ、AIに懐疑的な読者へ迎合(パンダー)することでアクセスを稼ぐスタイルを得意としている。

今回のマクドナルドの記事でも、その本質的な意図(嘲笑とクリック誘引)は露骨だ。

記事のタイトルに「Nauseating Foodslop(吐き気をもよおす残飯)」という過激な言葉を使い、過去のIBMとの提携崩壊や、「AIがチキンナゲットを250ドルで注文しようとした事件」などの失敗談をわざわざ丁寧に掘り起こしている。

これはニュース報道の皮を被った、「ほら、あいつらまたやらかすぞ」という読者の期待感を煽るエンターテインメントなのだ。

検証されない「90%自動化」の数字

さらに問題なのは、事実の扱い方である。

記事内では「90%の注文が人間の介入なしで処理されている」というデータが紹介されているが、これはマクドナルド本社の公式発表でも、第三者機関の検証でもない。

あるフランチャイズオーナーがX(旧Twitter)に投稿しただけの数字なのだ。

Futurismはこの未検証のデータをほぼそのまま載せながら、「perhaps finally beggaring belief(信じ難い話だが)」と軽く疑義を挟むだけで、真偽の追及はしない。

嘘か本当かはどうでもいい

構造として最も興味深いのは、フランチャイズオーナーの「従業員がAI導入を求めていた」という発言の引用だ。

記事はこの発言を「明らかに嘘くさいニュアンス」で引用しているが、実際に現場の従業員がどう思っているのかを取材したり、嘘であると証明したりはしない。

ただ読者の心に「どうせ経営者の嘘だろう」という疑念の種を植え付けるだけで終わっているのだ。

AIが仕事を奪うことへの不安。そして、大企業が失敗することへの痛快な感情。

Futurismは、私たちが抱えるそうした「AIに対する負の感情」を正確に読み取り、見事なまでにパッケージ化して販売している。

AIによって自動化されていく世界の中で、人間の「皮肉」や「嘲笑」という感情すらも、メディアにとっては美味しい消費の対象(コンテンツ)になっているようだ。