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AIデータセンターの電気代、払うのは誰? — 米議会が「テック企業に負担させろ」法案を審議

AIデータセンターの電気代、払うのは誰? — 米議会が「テック企業に負担させろ」法案を審議
Image: IBTimes

毎月届く電気代の請求書が、じわじわと上がっている。

原因はエアコンでも電気自動車でもない。あなたが使ったこともない、巨大なAIデータセンターだ。

Amazon、Google、Meta、Microsoft、そしてイーロン・マスクのxAI。これらのテック企業が全米各地に建設しているAIデータセンターは、膨大な電力を消費する。その電力インフラの増強コストが、地域の一般家庭や中小企業の電気代に上乗せされている。

米議会がついに「それはおかしい」と動き出した。

「電力料金支払者保護法」とは何か

2026年6月24日、下院エネルギー・商業委員会のエネルギー小委員会で、Ratepayer Protection Act(電力料金支払者保護法)の審議が始まった。

法案の内容はシンプルだ。州の電力会社に対し、データセンターなどの大規模電力消費者向けの「大口需要者基準」の採用を検討するよう義務づける。つまり、データセンター事業者が自社施設に必要なインフラ増強費用を自ら負担するよう求めるものだ。

提出したのは、コロラド州選出の共和党議員ゲイブ・エヴァンスと、フロリダ州選出の民主党議員キャシー・キャスター。超党派での提案である。

下院エネルギー・商業委員会のブレット・ガスリー委員長は「家庭や中小企業が、AI主導の成長に伴う費用を肩代わりすべきではない」と明言した。

カリフォルニア州の2倍の電力

数字を見ると、事態の深刻さがわかる。

BloombergNEFの分析によれば、データセンターの電力消費量は2035年までに106ギガワットに達する見通しだ。これは現在のカリフォルニア州全体の電力需要の約2倍にあたる。

さらに、大規模データセンターは冷却用に1日あたり約500万ガロン(約1900万リットル)の水を消費する。電気だけでなく、水資源までもが吸い上げられている。

バージニア州、テキサス州、オハイオ州では、すでに住民から「電気代が上がった」「インフラが追いつかない」という不満の声が噴出している。

「約束」は信用できるか

実は、テック企業たちはすでにホワイトハウスで「誓約」を済ませている。

2026年3月、Amazon、Google、Meta、Microsoft、OpenAI、Oracle、xAIの7社がトランプ大統領の前でRatepayer Protection Pledge(電力料金支払者保護誓約)に署名。自社施設に必要な電力とインフラのコストは「いかなる場合も」全額負担すると約束した。

だが、Consumer Reportsの調査によれば、アメリカ人の75%がこの約束を「あまり信用していない」または「まったく信用していない」と回答している。

そしてその不信感は正しい。署名はあくまで「誓約」であり、法的拘束力はない。守らなくても罰則はない。だからこそ、議会は法律による強制に乗り出したのだ。

ガソリンの次は電気代

興味深いのは、この問題がカリフォルニアで起きているAIによるガソリン価格操作の訴訟と構造的に似ていることだ。

どちらも、テック企業のAI活動がもたらすコストを、最終的に一般市民が負担させられているという話だ。ガソリンの価格をAIがつり上げ、電気代をデータセンターが押し上げる。

AIの「便利さ」を享受するのは一部のユーザーと企業だが、そのインフラコストは社会全体に薄く広くばらまかれる。

エヴァンス議員の言葉は率直だ。「コロラドの住民、農家、中小企業が、新たな電力需要の費用を負担するべきではない」。

至極まっとうな主張である。だが、それを法律にしなければ実現しないという現実こそが、この問題の本質を物語っている。