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クビにしたベテラン技術者を再雇用——フォードが「AI任せ」で大失敗した話

2026.06.26 配信
クビにしたベテラン技術者を再雇用——フォードが「AI任せ」で大失敗した話
Image credit: The Verge

あのフォードが、16年ぶりに車の品質ランキングで1位を取った。アメリカの調査会社JDパワーが毎年出している「初期品質調査」で、トヨタやホンダを抑えてトップに立ったのだ。

めでたい話——のはずが、フォード自身が記者会見で語ったのは「やらかした話」だった。

「AI使えばいけるっしょ」が裏目に出た

フォードの副社長チャールズ・プーン氏は、こう打ち明けた。

「AIを入れて設計の基準を調整すれば、いい車ができると思っていた。完全に間違いだった

フォードは車の設計や製造にAIシステムをどんどん導入していた。「人がやるより速いし正確だろう」と。ところが実際に走らせてみると、品質はむしろ下がった。不具合が続出し、ラインが混乱した。

原因を調べていくと、ひとつの事実に行き着く。何十年もフォードで車を作ってきたベテラン技術者たちの「カン」や「コツ」が、AIにまったく引き継がれていなかったのだ。

クビにした人たちに「戻ってきて」と頭を下げる

で、どうなったか。

フォードは、すでに辞めさせた技術者たちをわざわざ呼び戻した。目的はふたつ。

  • AIシステムに「正しい判断の仕方」を教え直してもらうこと
  • 経験の浅い若手エンジニアの指導役になってもらうこと

要するに、「AIがあれば人間はいらない」と思ってベテランを手放した結果、AIがまともに動かず、結局その人たちに頭を下げて戻ってもらったということだ。

他人事じゃない「AI入れたから人減らそう」問題

この話、フォードだけの問題じゃない。

いま日本でも「AIで効率化」「DXで人件費削減」という流れは当たり前になっている。でもフォードの失敗が教えてくれるのは、ベテランの頭の中にある知識は、そう簡単にはデータ化できないということだ。

「このネジ、ちょっと締めすぎると3万キロ走ったあたりで異音が出るんだよ」みたいな話は、マニュアルには書いてない。何年も現場にいた人だけが知っている。その人たちがいなくなってから「あれ、AIが変な判断してる」と気づいても遅い。

フォードは最終的に品質1位を取れた。でもそれは「AIのおかげ」ではなく、「人間を呼び戻したから」だ。AIを使いこなすには、まず人間の知識が必要。順番が逆だったという、身もふたもない結論である。

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