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「AIバブルと言うのは冒涜だ」——9兆円を賭けた男の確信と、市場が1日で失った144兆円

2026.06.27 配信
「AIバブルと言うのは冒涜だ」——9兆円を賭けた男の確信と、市場が1日で失った144兆円

「AIがバブルだと言うのは、AIへの冒涜(blasphemy against AI)だ」

ソフトバンクの株主総会で、孫正義CEOはそう言い放った。OpenAIへの最大の出資者として、その総額は640億ドル(約9兆円)を超える。

「ドットコムの50倍」という景色

孫氏の主張はシンプルだ。AIの革命はインターネットバブル(ドットコムバブル)より「おそらく50倍大きい」。過去の技術革命——エレクトロニクス産業の台頭、自動車の普及——がいずれも一時的な下落後に回復したように、AIも同じ軌跡をたどると見ている。

同氏はトランプ大統領が2025年初頭に発表した「スタゲートプロジェクト」にも参加している。OpenAI CEOのサム・アルトマンとともに壇上に立ったあの発表会では、AIインフラへの総額5000億ドル(約72兆円)の投資計画が示された。

市場は先週、1兆ドルを失った

一方で、数字は違う方向を向いている。

直近の株式市場では、AI関連株が一日で約1兆ドル(約144兆円)の時価総額を失った。Amazon、Nvidia、Tesla、Alphabet、Intelがそろって大幅下落し、SpaceXの株価もIPO価格を一時割り込んだ。

Haystack Newsが4100人以上のアメリカ人を対象に行ったアンケートでは、55%が「AIバブルについて非常に懸念している」と回答。世界のAI分野への累積投資は現在1兆ドルを超えているが、実際の収益化はいまだ追いついていない。

ソフトバンク内部にも懸念の声

ブルームバーグの内部報道では、ソフトバンク内部にも孫氏の判断を危惧する声があることが明かされている。OpenAIは急速な現金消費(キャッシュバーン)を続け、Anthropicなどの競合との競争も激化。出資者の誰もが期待するような利益がいつ出るのか、見通しは不透明なままだ。

UBSのエコノミストは「まだ始まりに過ぎない」と語りつつも、生産性向上によるリターンが出るまでには年単位の時間がかかると分析している。

信仰か、洞察か

孫氏は過去に大きな失敗も経験している。ウィーワーク(WeWork)への巨額投資は記憶に新しい。それでも同氏の「AI確信」は揺らいでいない。

バブルかどうかは未来にしかわからない。ただ確かなのは、640億ドルを賭けた人間が「それを疑うのは冒涜だ」と言う時、その言葉はもはや分析ではなく、信仰に近い。

その賭けが正しかったかどうかが明らかになるまで、私たちは毎日AI株の値動きを眺めながら答えを待つことになる。

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