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「メールを開かなくなったユーザーが過半数」——NotionがメールアプリをAIエージェントに捧げて終了

2026.06.26 配信
「メールを開かなくなったユーザーが過半数」——NotionがメールアプリをAIエージェントに捧げて終了

2024年2月、Notionは暗号化メールスタートアップの「Skiff」を買収した。Skiffは約200万人のユーザーを持ち、Proton Mailと競合していた企業だ。

買収から1年も経たないうちに、Notionはまずスキャンダルとも言える形でSkiffのメールサービスを終了させた。@skiff.comのアドレスを持つユーザーたちが突然その住所を失うことになった。その後2025年4月、NotionはSkiffのエンジニアたちを中心に新たな「Notion Mail」を立ち上げ、Gmailクライアントとして再出発を図った。

そしてそのNotion Mailも、2026年9月22日に終了する。

「もうメールを開かない」ユーザーが過半数に

Notionの説明は明快だった。X(旧Twitter)に投稿された公式声明は、こう述べる。

「Notionのエージェント機能が進化するにつれて、メールワークフローをエージェントに丸投げするユーザーが増えてきた。現在、Notion Mailユーザーの過半数が、受信箱を一度も開かずにメールを管理している」

つまり、ユーザーはもう自分でメールを読まなくなっている。AIエージェントが代わりに内容を確認し、仕分けし、返信候補まで用意する。そうなるとメールクライアント(受信箱を見るためのアプリ)の存在意義が消える、とNotionは判断したわけだ。

会社の結論は「受信箱に全集中するのではなく、エージェントで受信箱全体を動かすことに注力する」というものになった。

Skiffが二度消えた

今回の終了は、Skiffという企業の「二度目の死」とも受け取れる。

買収時、NotionはSkiffのインフラとチームを手に入れることで、メールや暗号化ストレージという領域で存在感を持とうとした。しかし結果として、Skiff的なプライバシー重視の路線は継続されなかった。Notion Mailは端対端の暗号化を持たないGmailクライアントとして設計されており、元Skiffが大切にしていた方向性とは異なるものだった。

元々のSkiffを選んでいたユーザーにとって、これはNotionへの移行を促されながら結局何も得られなかったという体験になる。

実用面での注意点

Notion Mailのユーザーが知っておくべきことは、いくつかある。

  • メールデータそのものはGmail上に残るため、消えることはない
  • ただし、下書きや予約送信メールは9月21日までに自分でエクスポートする必要がある
  • HIPAAコンプライアンス対応が必要な組織は、2026年6月30日までに別サービスへの移行が必要だ

Notionは既存の「自動ラベル」設定についても、カスタムエージェントとして引き継ぎができると案内している。つまり、受信箱管理のルールはアプリが消えた後もエージェントの形で動き続ける設計だ。

アプリの終わりとエージェントの始まり

これは単なる一企業の製品終了ではない。

これまでユーザーは「道具を使って仕事をする」という関係にあった。メールアプリを開き、内容を読み、返信する。その主体は人間だった。

Notionが今回示したのは、その構造が変わりつつあるという現実だ。道具を使うのではなく、道具に仕事を「委任する」。ユーザーの半数以上が既にそうなっているという事実は、メールという日常的なコミュニケーションの在り方が根本的に変わり始めていることを意味する。

Skiffを継ぐものが消え、次に来るのはエージェントだ。自分の受信箱を自分で読んでいる人間は、これからの数年で少数派になっていくのかもしれない。

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