ZEROSHOT

「AIの副作用」を記録するメディア

なぜ突然MacBookが数万円高くなったのか——AIデータセンターが引き起こす「第3のインフレ」

2026.06.27 配信
なぜ突然MacBookが数万円高くなったのか——AIデータセンターが引き起こす「第3のインフレ」
Image credit: Futurism

MacBookが何万円も値上がりした、iPad Proが急に高くなった——そう感じている人は、気のせいではない。

Appleは今年、ほぼ全てのMacとiPadのラインナップで数百ドル単位の値上げを実施した。理由として挙げられたのが「メモリの価格上昇」だ。だが、その背後では、AI向けの大規模データセンター建設ラッシュが半導体市場をひっ迫させていることが明らかになっている。

部品価格が前年比27%上昇

米労働省のデータによれば、電子機器の卸売部品価格は前年比27%増で推移している。

これはただのコスト増ではない。世界中でAI企業がデータセンターの建設に「数千億ドル規模」を投じており、その結果、サーバー向けのメモリや記憶装置の需要が爆発的に膨らんでいる。パソコンやスマートフォンに使われるのと同じ種類の部品を、AI企業が大量に買い占めているのだ。

製品ラインを持つ普通のメーカーには、そのしわ寄せがそのまま来る。

「3つのインフレ波」が同時に来ている

経済学者たちが今、指摘しているのは「インフレの第3の波」だ。

第1波は関税の影響による輸入品の値上がり。第2波は地政学的緊張から来るエネルギーや原材料のコスト上昇。そして第3波が——AIデータセンターの急拡大だ。

スイスの金融大手UBSのエコノミストは、この状況をこう表現している。

「AIが生産性向上や物価抑制をもたらす可能性はあるが、それが実現するまでには何年もかかるかもしれない。あるいは、実現しないかもしれない

つまり、AIが将来「経済成長をもたらす」としても、そのコストはいま、消費者が払わされているわけだ。

電気代も水も、じわじわ上がっていく

半導体だけではない。

AIデータセンターは膨大な電力を消費する。各国の電力網に大きな負荷をかけ、電気代の上昇を招いている。さらに、冷却のために大量の水を使用し、石炭火力発電所が稼働再開するケースまで出始めている。

こうした「隠れたコスト」は、どこかで必ず誰かが払うことになる。

電気代、水道代、そして家電の値段。AIの恩恵が届く前に、その「請求書」だけが先に届いている——それが2026年の現実だ。

「AIの恩恵を受けるのはいつ?」

UBSの警告が示すのは、技術的な進歩と経済的な恩恵の間には大きなタイムラグがあるということだ。

AIが社会全体の生産性を高め、物価を押し下げる効果をもたらすという予測は昔からある。しかし、それは理論の話であって、今のところAIが引き起こした価格高騰だけが先行している。

次にパソコンや家電の値段が上がったとき、その理由が「AIのせいかもしれない」と疑ってみることも、この時代を生き抜くための知識のひとつかもしれない。

広告

広告