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「著作権を盗むために作った超巨大コンピュータ」——NYタイムズがMicrosoftを追い詰める新たな訴状の中身

2026.06.28 配信
「著作権を盗むために作った超巨大コンピュータ」——NYタイムズがMicrosoftを追い詰める新たな訴状の中身

2023年末、ニューヨーク・タイムズ(NYT)はAI業界に衝撃を与えた。大手メディアとして初めてOpenAIを著作権侵害で提訴したのだ。あれから2年以上、その訴訟が新たな段階に入った。

「世界最強クラスの著作権侵害マシン」

NYTは2026年6月、訴状の修正を裁判所に申し立てた。従来の訴状ではMicrosoftのクラウドサービスは「汎用的なもの」として扱っていたが、修正版では主張のトーンが一変している。

MicrosoftがOpenAIに提供したスーパーコンピュータは、「著作物を無断で学習させるために特別に設計されたもの」であり、「インターネットの実質的な全体——NYTの記事を偏重的に含む——を使って、史上最も高性能なLLM(大規模言語モデル)を訓練する目的で作られた」とNYTは主張している。

つまり、Microsoftは単にサーバーを貸しただけではなく、著作権侵害を積極的に後押しする「道具」を意図的に作ったという主張だ。

最高裁判例の変化がNYTを後押し

この訴状修正の背景には、最高裁の新しい判例がある。ソニーがインターネット事業者Cox Communicationsを「音楽の海賊行為を助けている」として訴えた裁判で、最高裁はソニー側に不利な判決を出した。その結果、「著作権の間接侵害」を訴えるには、被告が違法行為を意図的に誘発したことを証明する必要があるという基準が示された。

NYTはこの新基準に合わせて訴状を練り直し、「MicrosoftはOpenAIが著作権を侵害することを知りながら、そのための専用インフラを構築した」という主張を前面に押し出した。

ChatGPTユーザーの「ペイウォール突破」記録も証拠に

訴訟の中で開示された証拠として、ChatGPTユーザーの大量のセッションログが提出されている。その中には、ユーザーが「有料記事を読みたい」とChatGPTに伝え、「次の段落を見せて」と繰り返すことで記事の大部分を閲覧できてしまうケースが記録されていた。

NYTはこの点を「市場への損害」として重視している。ChatGPTがNYTの記事をほぼそのまま出力できるのであれば、わざわざ購読する理由がなくなるからだ。さらに、記事をAI学習に使った結果、NYTの報道とは無関係な内容がNYTの名前で出力される「風評被害」も訴えの柱になっている。

Microsoft側は「不利な判例が出たから慌てて訴状を書き直しただけの最後の悪あがき」と反論しているが、NYT側は「核心的な主張は提訴初日から変わっていない」と一蹴した。

AIの学習データをめぐる著作権訴訟は各地で起きているが、この裁判の行方は他のすべてに影響を及ぼす可能性がある。「AIに学習させること」と「著作権を侵害すること」の境界線がどこに引かれるか——その答えに、メディア・クリエイター・ユーザーのすべてが注目している。

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