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会社のAI予算8万ドルで「クソゲー」を作った社員がいる

2026.06.29 配信
会社のAI予算8万ドルで「クソゲー」を作った社員がいる
Image credit: Futurism

「AIを使え、どんどん使え」と会社に言われたので、ゲームを作った。それで8万ドル(約1,200万円)分のAIトークンを溶かした——冗談のような話だが、実際に起きている。

8万ドルで生まれた「ブレインロット・シューター」

フィンテック企業Slashの社員ニック・ブルーマンさんは、会社がAIコーディングツールの利用を推奨していたのをいいことに、業務とは無関係のビデオゲーム制作にのめり込んだ。いわゆる「vibe coding(バイブコーディング)」と呼ばれる、AIにコードをほぼ丸投げするスタイルの開発で、出来上がったのは「ブレインロット・シューター」なるFPS(一人称視点シューティング)ゲームだった。

ブルーマンさん本人はSNSで「8万ドル分のクレジットを燃やしてしまった……遊んでくれればマーケティング費として計上できるから頼む」と投稿している。自虐なのか開き直りなのか判断に迷う発言だが、少なくとも8万ドルという金額は冗談では済まない。

「トークンマクシング」という新しい浪費

こうしたAIトークンの無駄遣いは、Slashに限った話ではない。コンサルティング大手のAccentureでも、技術職以外の社員がAI予算を使って業務と関係のない作業をしていることが報告されている。AccentureでAI戦略を率いるジャスティス・クワクさんは、この傾向を認めたうえで対応を検討していると明かした。

業界では「トークンマクシング(tokenmaxxing)」という言葉まで生まれている。会社から与えられたAIの利用枠を、とにかく上限まで使い切ろうとする行為を指す。404 Mediaはこれを「トークンポカリプス(tokenpocalypse)」と呼んだ。

背景には、AI企業が投じている莫大な資金がある。Anthropicはここ半年で320億ドル(約4.8兆円)の資金を調達し、Uberが事業構築に費やした総額320億ドルと並ぶ規模に達した。それだけの投資を回収するために、企業向けのAIトークンには高い価格がつけられている。

「使え」と言われたから使っただけ

テック業界アナリストのエド・ジトロンさんは、この状況について企業側の姿勢にも問題があると指摘する。生産性を上げるためにAIツールの利用を奨励し、「どんどんコードを書け」と言っておきながら、用途の管理をまったくしていないケースが少なくないのだ。

社員の立場からすれば「使えと言われたから使った」だけの話である。AIトークンの単価がいくらで、自分の作業にどれだけのコストがかかっているか、リアルタイムで把握している社員はほとんどいないだろう。

企業がAI導入を急ぐあまり、コスト管理の仕組みを整えないまま社員にツールを配った結果がこれだ。生産性向上どころか、高額な「おもちゃ」を配っただけに終わるリスクを、経営層はもう少し真剣に考えたほうがいいかもしれない。

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