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「反ウォーク」のはずのGrokまでリベラル寄り——AIチャットボット、全員左に曲がっていた

「反ウォーク」のはずのGrokまでリベラル寄り——AIチャットボット、全員左に曲がっていた
Image credit: Washington Post

AIチャットボットに政治的な偏りはあるのか。ワシントン・ポストがこの問いに本気で取り組んだ。

ChatGPT、Gemini、Claude、Grok、DeepSeek、Gabの6モデルに政治的な質問をぶつけて、返ってきた答えを人間が一つずつ採点した。使われたのは、スタンフォード大学とダートマス大学が2025年に設計した質問セットで、移民、銃規制、気候変動といった米国の「触れると火傷する」テーマばかりだ。

各モデルには30語以内で答えさせ、「両論併記でお茶を濁す」余地を潰した上での検証である。

数字で見ると、かなり露骨

結果はなかなかに生々しい。

OpenAIのGPT-5.5は、回答の80%が左寄りの論点しか出さなかった。右寄りだけの回答はわずか3%。要するに、ChatGPTに政治の話を振ると、ほぼ毎回リベラル側の意見だけが返ってくるということだ。

中国発のDeepSeekも70%が左寄り。中国政府の検閲を受けているはずのモデルが、なぜかアメリカのリベラル的価値観に沿った答えを返しているのだから、皮肉が効いている。

唯一バランスが取れていたのはGoogleのGemini 3.1 Proで、93%の回答が両方の視点を提示していた。AnthropicのClaudeも57%が両論併記で、比較的穏当な結果だ。

そして注目はイーロン・マスクのGrok 4.3である。マスクが「ウォーク文化に染まらないAI」として鳴り物入りで送り出したあのGrokだ。たしかに右寄りの回答は33%と全モデル中最多だったが、左寄りの回答も40%を占めていた。「反ウォーク」の看板を掲げたGrokですら、トータルでは左に傾いていたのである。

聞かれると困るから、黙る

この結果に対する各社の反応も、なかなか味わい深い。

OpenAIはコメントを拒否した。マスクのxAIも、DeepSeekも、Gabも黙っている。声明を出したのはGoogleとAnthropicだけだ。

「バイアスはありません」と胸を張れないことを、一番よくわかっているのは当人たちなのだろう。

ただ、これは特定の企業が意図的にやっていることとは少し違う。AIの学習データはインターネット上の英語コンテンツが中心で、そこにはリベラルな都市部の大卒層が書いた文章が偏って多い。さらに、人間のフィードバックで回答を調整する過程でも、評価者自身の傾向が紛れ込む。つまり、AIの偏りは「誰かの陰謀」ではなく、学習の仕組みそのものに組み込まれた構造的な問題だ。

「中立のふりをした助言者」が一番厄介

ここで考えたいのは、AIチャットボットの偏りが検索エンジンの偏りとは質的に違うという点だ。

検索エンジンは情報を並べるだけで、選ぶのはユーザーだ。しかしチャットボットは、質問に対して「一つの答え」を自信満々に返す。その答えが特定の方向に寄っていたとしても、ユーザーの多くは気づかない。教科書の記述のように受け取ってしまう。

毎日、何億人もの人がAIに宿題を手伝わせ、ニュースの要約を頼み、社会問題について聞いている。その一つ一つの回答に、今回測定されたような傾きが入っている。

今回の検証が教えてくれるのは、「AIは中立だ」という前提自体がもう通用しないということだ。偏りがあるとわかった上で使う分にはいい。しかし「AIが言ってるから正しい」という態度でいる限り、私たちは世界で最も礼儀正しい偏向メディアに、毎日の判断を預けていることになる。